当科の紹介

育児との両立(女性医師編)

大浦 果寿美 先生北海道大学 2016年(平成28年)卒業

もともと子供が好きで小児科医を目指して医学部に入学しました。北大小児科は全道各地に関連病院があり、地方の小児医療を担っています。札幌から車で何時間もかかる病院もあり、ある程度それぞれの地方で医療を完結する必要があります。一方、大学には北海道全土から珍しい疾患や専門性の高い治療を要する疾患が集まってきます。北大小児科では小児科医としてあらゆる疾患に対応する力を身につけることができ、同時に専門性を極めることもできると考え、北大小児科に入局しました。

まだまだ偉そうに両立できているとは言えませんが、周りの先生方や夫の理解・協力のもと育児・仕事をできていると思います。家事に関しては夫と分担して行っています。また、多少家が散らかっていても「まぁ、いっか」と思うことが大切かなと思います。平日は子供と過ごす時間が少ない分、休みの日には目一杯子供と遊ぶよう心がけています。

私自身、小児科医としても母親としてもまだまだ未熟であり、日々育児と仕事の両立を試行錯誤しながら過ごしております。仕事も育児も中途半端になってしまっているのではないかと悩むこともあります。仕事が残っていても迎えの時間になったら帰らなければいけなかったり、泣いている子供を保育士さんに預けて後ろ髪をひかれながら仕事に向かわなければならなかったりすることもあります。しかし、周りの先生方はとても気にかけてくださり、育児をしながらでも働ける環境を作ってくださっています。また、北大小児科には子育てをしながらもバリバリ働いている女医さんがたくさんいらっしゃいます。仕事も子供もどちらも犠牲にすることなく、自分のやりたいことができると思います。医師としてだけではなく1人の母親としても患者さん家族に寄り添うことができるよう、また限られた時間だからこそ密な仕事・育児ができるようにと思っています。働く女医さんが増えることを期待しています。

菱村 希 先生弘前大学 2010年(平成22年)卒業

Youは何しに北大小児科へ?

札幌の天使病院(北大関連病院)で初期・後期研修を修了した後、将来のサブスペシャリティ選択・研修の相談をしていた指導医の勧めもあり、北大小児科に入局しました。

自分が選んだ内分泌以外にも多くのサブスペシャリティグループの先生と繋がりを持てること、夫(北大他科所属)と関連病院の地域が共通していたこと、他大学卒業かつ遅いタイミングでの入局であっても大歓迎してくれる雰囲気だったことが、入局の決め手になりました。

育児と仕事をどう両立していますか?

「両立」というと育児も仕事もどちらも立派にこなしているようですが、実際は育児も仕事もなんとか毎日できる範囲で地味に続けている状態です。

現在、大学ではすくすく医員(育児支援枠)採用で、夜間休日の時間外勤務なしという恵まれた勤務体系です。その分、夜間・休日の勤務をカバーして下さっている周りの先生達への感謝を忘れずに、日中できる仕事はなんでも引き受けて、なるべく時間内に綺麗に終えることを日々の密かな目標としています。それでも時間切れのために他の先生に引き継がざるを得ないことや、急なお休みや早退で迷惑をかけてしまうことも多いですが、いつも周りの先生達には温かくサポートしていただいています。また、毎日通う保育園の先生、そして北大病後児保育の先生のサポートには本当に感謝してもしきれません。

家庭では、夫とともに3人の子育てに日々奮闘しています。子供が増えるごとにいつの間にか夫の家事・育児スキルは向上し、最近では手伝いどころか私よりも家事をしてもらっている日もあり、とても助かっています。また子供の体調不良時には、私だけに休みが偏らないように、夫にも仕事の休みを取らせてくださるなど、理解ある夫の上司のおかげで数々のピンチを乗り越えてきました。市内に住む私と夫の両親もそれぞれ仕事や私用の合間をぬって孫育ての協力をしてくれ、精神的にも身体的にもとても助けられています。ここまで周囲のサポートに恵まれると、私自身の負担はそれほど大きくないはずなのですが、「無理はしすぎないこと!」を勝手にモットーとして、あちこちで家事育児の手を抜きまくり、結局大して何もしないまま子供と一緒に寝落ちして、夜中や早朝に慌てて家事や保育園準備をすることもしばしばで、反省の日々です…。

特に週末の作り置きや子供が寝た後の家事タイムなども習慣化はしておらず、いつもその場の限られた時間でギリギリできることをやるというスタイルで日々を乗り切っています。「キラキラとした映える生活」、「おしゃれで丁寧な暮らし」には程遠い毎日ですが、家族が心身ともに元気で健康でいられること、休日は何か1つでも子供のリクエストを快く聞いてあげること、だけは守れるように自分なりに頑張っています。

育児と仕事の両立に関心のある先生へ一言お願いします

育児と仕事の両立の仕方は、人それぞれ目指すところ、形が違っていいと思います。いつでも隣の芝生は青く見えてしまうものですが、自分がベストと思うバランスで育児と仕事の両方を長く続けていくためには、人を羨まず、何よりも自分自身と家族としっかり向き合うことが最重要だと思います。

そして、育児中はあらゆる面で、多くの人達にサポートしてもらう事になります。それを当然と思わずに、常に感謝を忘れないこともとても大事だと思います。

私は小児科研修が終わってからまとまった短期間に3回出産し、まさに今集中的に子育てをしている最中ですが、北大小児科には大学卒業後、様々なステージで出産・育児を経験して奮闘している(してきた)女医さんが他にもたくさんいますので、きっと多くの例の中から自分の理想に近い、参考となる先輩を見つけることもできると思います。そして、もし今後、育児と仕事の両立に悩むことがあっても一緒にその思いを共有できる仲間はいっぱいいますので安心して下さい。苦労しながら細々とでも仕事と子育ての両方を続けていくことで、きっと小児科医としての自分にも大きな財産として何か残るものがあると信じて、ぜひ一緒に頑張りましょう。

中久保 佐千子 先生札幌医科大学 2010年(平成22年)卒業

  • 夫(北大)の科と同地域に関連病院があり、同地域への転勤にも対応してもらえたため。
  • サブスペシャリティグループがたくさんあり、またNICUを持つ関連病院も道内に豊富にあり、勉強になると考えたため。

正直に言うと両立しているという感覚はなく、毎日を必死に過ごしています。また、臨床と基礎研究で、頭がパンクしそうなときもありますが、充実した日々を送っています。しかし、お迎えの時間になるとダッシュです。
家では休日や平日の夜に副菜を作ったり、縫い物やアイロンをかけたりしています。食洗機とドラム式洗濯機には感謝してもしきれません。また、ストレスがたまると夫に八つ当たりをしてスッキリしています。空いている時間は極力子供と遊んで過ごすようにしています。まだ3歳と5歳なので一日一日成長が見られて楽しい反面、一日何回怒鳴っているかわかりません。朝は子供の準備に時間がかかりすぎて、自分の身支度は3分程度です。

育児と仕事を同時にすることは一人では難しいです。家事をこなしていても精神的につらくなることも多いと思います。頼れる人の確保が最重要事項と思います。私の場合は夫が精神的に頼れる存在ですし、母にも困ったときに助けてもらっています。
また、仕事も時間制限もあり、周りの先生方の協力がないと難しいです。常にその状況に感謝しつつ、限られた時間でいかに自分が納得のできる仕事ができるかが大事と思います。ここまで書くと辛いことばかりのようですが、育児はとても素晴らしいことです。これは本当に心からそう思います。育児をして初めて知ったことはたくさんあり、逆に子供に育ててもらっているなと思うこともよくあります。育児と仕事、どちらも頑張りたいというのはある意味贅沢なのかもしれないと思うときもあります。
コツコツ地道に頑張ればきっと「仕事も続けられてよかった」と思える時が来ます。一緒にがんばりましょう。